パン屋だったら子供を育てながらでもできるのではないか?

著書「売れる!パン屋作り40のルール」が好評ですが、どんな思いで書かれたのですか?

パン工房ペシュが地元で認知されるようになり、野口貴美子

「私もパン屋を開業したい」という相談をいただくことが増えました。

 

しかし、その中のほとんどの方がなかなか開業に踏み切れずにいたり、

繁盛させられず頭を悩ませたりしています。
ですので、私が経験無し・資金ほぼゼロの状態から

「実際にやってみた」ことをお伝えすることで、
そのような方たちが「私にもできる!」と
励みにしてくれたらという思いで書きました。

31歳のシングルマザーで素人から始めて、年商8000万円の大繁盛店になれたのはナゼなのでしょう?

そうですね、やっぱり常に目標を「達成して当然のもの」として、諦めずに取り組んできたからでしょうか。
普通は習得に10年かかるパン屋のスキルを2年でマスターしてしまったのも、
パートとしてパン屋で修行し始めた当初から、開業することを「決めて」いたからです。

 

開業できた後も「2号店を出す」など常に次の目標を見据えて行動していました。

出店準備が整う前に開店日を掲げてしまうくらい、
すでに達成したかのように強く思っていました。

逆に不安になったり、落ち込んだりした時期はないのですか?

開業当初は、不安になることばかりで眠れないほどでしたよ。

自己資金がほとんどなかったため、

機械はもちろん中古、備品類は廃業した知人からいただきました。

 

そのままいただいたので、鍋や食パン型は錆び付いていて、チョコレートもへばりついた状態でした。
オープン2日目には、古いオーブンの弁が故障して水が滝のように流れて

店はサウナのような状態になってしまいました(笑)。

さらに翌日には電気パネルから火花が飛び散りブレーカーが落ちてパンが焼けなくなる事態に…。

 

けど、そんな信じられないようなハプニングが続く中で

支えとなったのは2人の子どもたちの笑い声でした。
小さな手を真っ黒にして手伝ってくれたことは、今でも忘れられません。

 

「子供がいたら開業できない」と感じる人も多いようですが、

私の場合は決してそんなことはありませんでした。
むしろ子供たちがいてくれたおかげで今の私があると思います。

書籍の中でも「経費をかけずに集客アップするテクニック:をたくさん紹介されていますが、お客を呼び込むために大切にしていることは何ですか?

目的を明確にして実行すると、効果が出やすいと思います。
例えば、チラシは新規の方に来店してもらうため、ポイントカードは再来店を促すため、
というように分解して考えています。

 

そして何より、常にお客様が喜んでくれることを探すことが大事です。

現在、ポイントカードのサービスで、4,000円分のお買い上げごとに食パンを3斤プレゼントしているのですが、
「3斤」というのは皆さま驚かれますね。「え?こんなにいいの?」って。
ご家族やご友人に話さずにはいられないようです(笑)

商品の売り方にも工夫をこらしているんですか?

常連のお客様を飽きさせずに何度もお店に来ていただくために、いつも同じ顔ぶれの商品にせず、
季節ごとに商品を入れ替えたり、新顔の商品を登場させたりしていますね。

お店の目玉商品を持つことも大切です。
私のお店の目玉商品は、店名を冠した「ペシュまる」というラウンド型のパン。
ケーキに近いスイーツ感覚のパンで、「お使い物用」にもなるし、
ちょっとぜいたくな「自宅用」にも楽しめるという2つのニーズに応える付加価値の高い商品です。

「ペシュまる」は370円とやや高めですが、100円の低価格商品も多く扱っていますね?

そうですね。目玉商品の「ペシュまる」の価格を変えないまま、野口貴美子

「高いお店」というイメージを変えたいと思い、
既存の商品を少し小さくして原価率を3割以内に留めて
利益を計算した上で、
思い切って「100円」の商品を打ち出してみました。
また、単価の安い商品は、単価の高い商品と違って
一日で何度も焼けるので、「このお店はいつ来ても活気があるね!」
という雰囲気を演出することもできるんです。
こういう工夫でお客さんが気軽に足を運んでくれるようになりました。

ありがとうございます。

何度も焼きたてのパンを出す雰囲気を演出するために1度に焼く個数を少なくしています。
ですから、少なくてもボリューム感のあるディスプレイができるよう、

小さなカゴにパンを盛って配置をしています。

 

入口正面に人気商品や新商品の棚を置くこともポイントです。
入口正面にトレイを重ねて置くお店が多いのですが、
お店の顔である一番大切なスポットは一番見せたい商品を置くようにしています。

 

POPにしても、今までいろいろ試してみて実感するのは、

いくら販促や集客を狙って一生懸命セールを実施しても、
お客様にそれが伝わらなければ、客足は増えないということです。

 

多少おしゃれ度が下がっても、客足アップのためには、
POPは子どもにでもわかるように「大きくハッキリ」が鉄則です。

経験に裏打ちされた手法なんですね。今「自宅で自分の店を開業したい」という女性が増えていますが、そのような方にアドバイスをするとしたら?

大きな初期費用をかけてお店を開業する「全力起業」は野口貴美子
“ハードルが高い”と感じるかもしれません。
その場合は、店舗家賃のかからない自宅で、

趣味を兼ねて開業する「おうち起業」から
はじめられることをおすすめします。
私のお店も1号店は自宅のお庭でスタートしました。

 

夢があるという人は多いのですが、結局はどれくらい本気で思っているかが大切ですよね。
本気で思って取り組めば、夢は夢でなくなると思いますよ。

最後に、「パンの町」つくばの地元人気店となった今、次は何を目指していますか?

30年後の目標は「世界のペシュ」です!

まだ実感はないですし、

そこにたどり着くまでの具体的な方法もまったくわかりません(笑)。
それでも、まず目的地を掲げて一歩踏み出す。
すると、次の課題が見えてくるはずだと考えています。

 

野口貴美子プロフィール