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そうですね、n0018
クラシックのピアニストが、ポップスをクラシック風にアレンジして弾くことは、
世界的にも珍しいことなんです。

今回のCDでは、映画音楽とミュージカル音楽の不朽の名作から
12曲を厳選して、全てを私が編曲いたしました。
音楽をクラシック風に演奏することを「a la classic」といいますが、
ポップスをクラシック風に編曲するということは、
私にとっては常識を変えなければいけないくらい大変でした。

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まず、メロディラインが全く違っていて、

クラシックに比べるとポップスはメロディの音程の高低差が少ないんです。

 

ピアノは両手を広げれば、低い音から高い音へ一気に飛ぶことができます。

だから、クラシックのメロディラインはとても変化に富んでいます。

でも、ポップスは人が歌うことを前提として作られていることが多いので、

音階を一気に超えるような曲はあまりありません。

 

また、人の歌声は、1つの音を長く伸ばすことができますが、

ピアノは鍵盤に指をおいておくだけでは、音は長く伸びません。

だから、ポップスで音を長く伸ばす部分は、

クラシックピアノのさまざまなテクニックを使い、音を増やしたりして工夫をしました。

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ありがとうございます。n0071

今回の作品の中には映画音楽もありますが、

すべての映画作品を改めて見てから編曲しました。

例えば、チャップリンの映画「ライムライト」から

「エターナリー」を選んで編曲したのですが、

この曲はチャップリン独特の様相、ユニークな歩き方、

ちょっと風刺のきいたひねった笑いなど、全てが浮かぶようにアレンジしました。

 

私は、「音が目で見える」ような演奏を心がけております。

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はい。

私にとっての音楽は、本を読むことと同じ感覚なのかもしれません。

通常は本を読むと、それぞれの頭の中に映像が浮かぶと思うのですが、

それと同じことを私は音楽で伝えたいと思っています。

 

本の場合には「目で見た活字」から映像が浮かびますが、

音楽の場合には「耳で聞いた音」から映像が浮かびます。

活字は日本語ですが、

音楽は五線譜の上に音符で書かれています。

私は音符を読むときも、本を読むように見ていますよ(笑)

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編曲する原曲のメロディを、いつも頭の中で流し続けて、

音楽の神様に雨乞いのように、

「お願いです!音楽よ、降りてきてください!」と祈り続けると、

ある時オーケストラのようにいろいろな音で、ワッと頭の中に音楽が降りてくるんです。

それを忘れないうちに一気に楽譜に書きとめます。

あとは、その音を再現できるまで練習していく。

 

一般的には、ピアノを弾きながら作曲するんですが、n0020

それだとどうしても自分が弾ける範囲で作ってしまうんですよね。

でも、私の場合は頭の中に理想の音がありますから、

それが、自分では弾けないような難しい音の時もあるのですが、

聴いてくれる人たちを感動させたいのでそこだけは絶対に妥協できません。

 

親指と小指のタッチだけで、

何時間も練習することも珍しくありません。

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私は、物心つく前の0歳からピアノが大好きだったそうです。

すでにその頃からおもちゃのピアノをなんとなく弾いていて、

あまりにも長時間弾くので、母がピアノを取り上げたところ、

大泣きしてなかなか泣き止まなかったとか…(笑)。

 

作曲を始めたのは5歳くらいの頃で、ピアノを習い始めたのは6歳からです。

その時にようやく自分のピアノを買ってもらったのですが、

買ってもらうまでは、ピアノのあるお家に遊びに行ってピアノを弾かせてもらってました(笑)。

 

今でもピアノが好きすぎて、片時も離れたくないんです。

ピアノがないと生きていけません。

ピアノを弾く時は指がとても器用に動くのですが、

料理などはとても不器用なんですよ(笑)。

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クラシック音楽は、私にとって「生きがい」であり「支え」です。n0009

喜怒哀楽を、自然に共にできる世界なんです。

 

私は、楽譜を見たり、ピアノを弾いたりすると、

作曲家の想いが理解できて、

「そうそう、そうだよね」と、楽譜やピアノと対話ができます。

例えて言うなら、

テレビに向かって喋りかけている人に似ているかもしれません(笑)。

 

クラシックの作曲家は、自分の想いを全て音に込めています。

例えば、「ピアノの魔術師」と言われた作曲家のリストは、

ベニスの美しい景色を見て感動し、ベニスに関する曲を作りました。

私は、その曲をピアノで弾きながら

「このゴンドラ、本当に素敵!こういう景色を見たのね」と思い描くことができます。

 

作曲家が見た光景が、音を通じて伝わってくるんです。

このような作曲家の想いを伝えるのが、クラシックの演奏家だと思います。

私は、いわば音楽の翻訳者です。

私にとって、クラシックの楽譜は哲学書のようなもの。

とても普遍的なものがあって、私の音楽活動の道しるべになっています。

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現代は忙しい人が多いせいか、いつも誰かを攻撃したり、闘ったりして、

優しさを忘れがちだと思います。

私が音楽を届けるときに心がけていることは、

聴く人が「優しい気持ちになってもらえるように」ということです。

 

今は、音楽をコンピュータで作る機会も増えました。

それはそれで今の時代に合っていて良いのかもしれませんが、

やはりどこか機械的で忙しく、ベルトコンベアのように流れていく気がするんです。

 

音楽は、コンピュータで音やリズムを数えて演奏するものではなく、

人によって違う「ゆらぎ」があります。

 

例えば、複数の人が同じ道を歩いていても、

それぞれ歩く速さや立ち止まるタイミングが違うように、

人にはそれぞれのテンポがあります。

 

これと音楽も同じで、単に楽譜を見て、並んでいる音符通りに演奏するのではなく、

楽譜から受け取ったものに、それぞれが緩急をつけたり、

その人が持つ「香り」をつけて表現する。

これが私の好きな音楽であり、芸術です。私は「芸術家」でありたいと思っています。

人が作った音楽でなければ心に響かないことがあるような気がします。

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私は感動を、自分の造語で「心動」といっています。

読んで字のごとく、「心が動く」ということをお伝えしたいと思うのです。

 

この「心動」という言葉は、私が10代の頃に考えて、

それ以来、いつも心がけてきました。

「心動」させられるくらいじゃないと芸術家ではないと思ったからです。

単に楽譜をなぞってピアノを弾くだけでは、私自身が納得できません。

みなさんの心が動くまで表現したい。

 

クラシックになじみのない人でも、n0041

「初めて聞いた曲だし、ピアノもあまり好きじゃないのに、

なんだかわからないけれど感動した!心が動いた!」

と思っていただける場をつくりたいのです。

 

きっとそれぞれの人によって、心が動く曲は違うと思いますが、

コンサートではたくさんの曲を弾きますので、

その中で1曲でもいつもと違う気持ちになる曲があったら、私はうれしいです。

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2016年は、私がピアニストとしてセルフプロデュースで活動を始めてから

20周年の節目にあたります。

来年6月には、東京でコンサートを行うことがすでに決まっている他、

多くの場所でコンサートを開いて、生演奏を聴いていただけるようにしますので、

みなさん、毎日がお忙しいこととは思いますが、ぜひ一度足を止めて、生の音楽を感じてみていただけたらうれしいですね。

 

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外部リンク: ピアニスト 川村奈美子 公式ホームページ